エレキギターの呼び声が聞こえるという話
エレキギターが趣味です。
(演奏が趣味とは書かないが、演奏をしないわけでもない)
エレキギターと、その流通・製造・小売、中古市場というもの自体が好きです。
高校生になって、初めて自分のエレキギターを所有した時から。ずーっと「エレキギターの価値」について考え、比較しています。
どれくらい前からかはもう忘れましたが、いいギターからは「自分をお前の家に連れて帰れ」という呼び声が聞こえます。エスパーかい。
そんな事はあり得ない、と言いたくなるでしょうが、聞こえるモンは聞こえるわけですし、自分が安値で仕入れたギターはほぼ確実に高く売れるので、なんですかね。商売上の嗅覚って感じですかね。
炭とダイヤモンド、ありますよね。どちらも炭素で出来ている。
でも炭の山にダイヤモンドが混じっていたら、光を反射して煌めくので、すぐわかるでしょ。そんなイメージです。
同じ50万って書いてあっても。同じ5000円て書いてあっても。違いが明確にある。特に中古楽器は、「大事にされていたかどうか」が如実に出る。
新品は違いが出てきていない、みたいな考えも一部にはありますが、やはり当たりは最初から当たりです。見たらわかります。うまく説明できないけど、いい製品は顔がいいんです。
なので買うか決める時に見るのは値札じゃないです。ギターの顔を見ます。それで、最後に財布と相談します。
これが自分流のお宝探しのコツです。「予算内で買える中から探す」のではなく、「目が合ったギターを予約しておいて、お金を溜めて買う」。これです。
【自分語り】疑似ミツグ君病【スルー推奨】
「価値ある贈り物を受け取らせたい」って変形した承認欲求だな(自分のこと)
— 十八号の日常 (@daysEighteen) 2021年9月9日
舞い上がって相手の気持ちも考えずに自分が価値あると思うものを片っ端から貢いでいた嫌な過去を思い出してしまった
— 十八号の日常 (@daysEighteen) 2021年9月9日
高校の頃配ろうとしたお菓子を誰も受け取ってくれなかったトラウマがたぶん原因だろうな
— 十八号の日常 (@daysEighteen) 2021年9月9日
せっかくなので語ることにします。墓場まで持っていってもいいんだけど。
ミツグ君とは
90年代バブルの頃にあったらしい、「お金だけは持っているが、女性に人気のない男性が、魅力的な女性に高額な贈り物をするが、受け取ってもらえるだけでこれといって見返りがない、という形態の交際」をミツグ君と呼んだ。アッシー、メッシーなどが類義語。
疑似ミツグ君病
自分は、「自分が価値あると信じるもの」(自分自身を含まない)を否定されることにかなり極端な怒りを覚えるようです。そして、そのぶん受け取ってくれる、認めてくれる相手の奴隷になりたがりやすい性質がある。
エレキギター、アンプシミュレーター、パソコン、高額キーボード、などなど…。
自分が実際に使っていいと感じた道具を他人に押し付け、あげてしまう悪癖がある。
「自分がよいと思ったものを押し付ける」のであって、「相手が欲しそうにしているものをあげる」のではないのだ。この点がミツグ君とは違う。
「自分にとって間違いなく、よいと感じるもの、を提供するのであるから、相手は嬉しいに違いない」という強い思い込みがあり、これで何度も失敗してきた。「自分がされて嬉しいなら、相手もされて嬉しいに違いない」という。他人と自分は同じものであるという謎の信仰をしていた。
「自分が価値あると認める贈り物を相手に受け取らせることに成功する」ということで得られる充足感が、なんだか自分の空虚な部分を埋めてくれるような気がしていた。
克服
「他人は他人であり、自分の思い通りにはならない」ということを決定的に思い知ったことで、この「あげます」の病は解消した。恋愛は人をオトナにする。
最初から恋愛をする気のない人に対して恋愛の虚像を投影するのは、相手にとって迷惑であるし、時として、その人にとっては相手を問わず恋愛自体が嫌悪の対象であることもある。
6年間ネットで友人関係を築いた女性とぢかに会える距離に物理的に移動したことがきっかけで、その友情は破綻してしまった。自分は友情から昇華した恋愛になってほしかったが、相手はそうではなかった。相手は、自分自身の領域に踏み込まれることを嫌がっていた。
「他人とはどういうものであるか」を直接目の当たりにしたことで、他人に幻想を投げかけることを自分はやめた。長い戦いだった。
超おすすめのギターアンプ KORG MV50
でかいアンプ、好きですよね。私は好きです。
そして真空管アンプ、クソデカトランス、クソ重いキャビネット。クソデカスピーカー。
あれじゃないと出ない音がある。わかります。
しかし、現実問題としてクソデカギーアンは邪魔です。生活するのに支障があります。
しかも真空管は壊れます。遠くない未来に玉が切れるわけです。メンテナンスが必要な存在なわけです。*1
フルチューブ、モデリング、プリチューブ。色々遍歴を重ねましたが。これは!という発見だったので、お知らせです。
KORG NuTubeテクノロジーを使った「本物の真空管」でありながら、ヒーターも玉交換も巨大なトランスも不要な「真空管ギターアンプ」、それがMV50シリーズです。
蛍光管という小さな真空管をチップサイズでギターアンプ用に転用したというこのNuTube、びっくりするくらい普通の真空管アンプっぽい音がします。
「具体的にF社のDRというリバーブ回路を経由したあの音を出したい」には応えられませんが、自宅練習でとりあえず真空管アンプっぽいクリーントーンを鳴らしたい」にはバッチリ応えてくれます。
見ての通り、驚きのコンパクトサイズ。
そのへんのエフェクターより小さい。信じられないくらい小さい。ACアダプター駆動。
電源入れてすぐ使える。
そして専用キャビネットがすごい。さすが専用だけあってガッツリ鳴らしてくれます。中型スピーカー1発なので中低音がしっかり鳴ります。
そして安い。単機能だから、ということもありますが、真空管ヘッド+キャビのスタック構成としては本当に驚きの価格。
デジタルっぽい見た目してますが、中身はアナログ回路なんだそうです。すんごい。
とにかく試奏してみてください。びっくりします。
レスポール・スペシャルのブリッジスタッドを雑に引っこ抜く
経緯
色々な改造をギターに施してきましたが、モロに弦振動に影響する、弦の張力がかかる部分はプロの領域という認識で、これまで避けてきました。
しかしながら、レスポールスペシャルにヴァイブローラを搭載しようとしたところ、バダスコピー互換ブリッジが前方回転してしまう(ヘッド方向に向けて後部が持ち上がる)現象に遭遇しました。
こればっかりは、ブリッジパーツを削る手法では対応出来なかったため、ついにバダス付属のスタッドに交換する決意をするに至った、という訳です。
しかし、スタッドソケット部品は僅かな表面部分を除いて大部分がギター木部に圧力で食い込んでいます。
そんな大事な部品を抜く方法あるの!?
調べてみたら、出て来ました。塩ビパイプを咬ませて、スタッドボルトと同じネジ山のボルトをソケットに通し、ネジの力で引っこ抜くという訳です。
なるほど合理的なのですが、自分の住んでいる街には幸か不幸かホームセンターがありません。
おまけに隣町からホムセンに出ていた直通バスが、コロナ禍のあおりで運休。ガーン…。
そんなわけで、他ブログさんの提示した材料以外でスタッド引っこ抜きをやってみよう、と思い立った訳です。
材料
入手性がよくないといけません。
- 炭酸水のペットボトルキャップ
- 元々付いてたブリッジのスタッド
- 錐(キリ)
- ラジオペンチ、ないしリーマー
- ゴム板(クッション用)
これだけあれば、チューンOマチック、ラップアラウンド形式のスタッドソケットを抜くことができます。
炭酸水のペットボトルは、炭酸の圧力に耐えられるように、特別に頑健に出来ているため、今回の「無理矢理スタッドソケットを引っこ抜く」という目的に合致しています。
本当は穴を拡げるためにリーマーという工具があれば理想的だったのですが、引っ越しの際にどこかに行ってしまったので、ラジオペンチ内側のギザギザで代用しました。
ラジオペンチは外側が半円、内側が刃物になっているので、リーマーとして理想的な働きをします。
とはいえ、ラジオペンチは本来はペンチであり、最初の下穴を空けるには不向きです。
なので錐はあった方がいいです。
六角ボルト🔩を購入しに行くかは迷ったのですが、最初からブリッジスタッドボルトそのものが役割を果たせる事から、不要です。
ペットボトルキャップの中心に錐で穴を開け、リーマー(ラジオペンチ)で無理矢理穴を拡げます。
ブリッジスタッドボルトがギリギリ通るか、通らないかくらいのサイズまで拡げます。
引っこ抜く
いざ実践。
クッションとして、ストラップ固定ラバーを敷いていますが、クッションになりある程度硬ければなんでもいいです。
キャップが圧力に負けて変形するので、もっと分厚くてもいいかも。
回していきます。
だんだん圧力でキャップが凹んで行きますが、あるポイントで変形が止まります。
そこから注意深く丁寧に回していくと…何かが壊れるような音がして、スタッドが外れます。
正確には完全には外れていないため、元のスタッドソケットを丁寧に抜きたい人は最後までネジの力で抜いてください。
自分は雑なのでラジオペンチで引っこ抜きました。
ネジを外してみます。
ジャーン!円柱が姿を現しました。こんなかたちしてるんですねえ。
指で揺すったら抜けました。
穴です。
レスポールスペシャルはスタッドソケットで弦アースを取っているため、新しいスタッドを入れる時にアース不良にならないよう気を付けてください。
こっちは弦アース無い方の穴です。
以上。
アリアプロ2のB.C.Richコピーモデルの思い出
近所にマニアが住んでたんでしょうね。
自分の実家最寄り駅降りてすぐのリサイクルショップには、定期的に謎のジャパンビンテージのお宝が並びました。
ヤフージャパンがモデムを配り始める前だったと思います。
黒雲製作所のジャパンモズライト、TEJ、ダイヤモンド…。
色々仕入れては個人売買の掲示板で転売して儲けました。儲けといってもたいしたことはなく、差額2万円くらいで、その儲けは次の仕入れやチョコバーに消えました。貧乏だったので。
その中でも一際印象に残っているのが、アリアプロ2のBichコピーモデルです。
B.C.RichのBichという、typoかな?と思わせる名前ですが、これであっていて、10弦(12弦ギターみたいに複弦が張られているもの)のモデルと普通の6弦があったようです。
やたら多いスイッチ。スルーネック。異様に平たくて幅広の指板。これはお宝だぞと。ピックアップは、ディマジオ・スーパーディストーションが2発だったはず。24フレット。
2万円くらいでしたかね。ゲットしました。
で分解清掃するわけですが、とにかくとんでもなく手垢が溜まっていた。
エボニー指板だったっぽいですが、それが手垢だと認識できないくらいとにかく積もっていて、変色していて。
ヘラで押すと剥がれてくるから垢だとわかるんですが、プレステのコントローラーに溜まる手垢とはまるで比較にならないくらいとてつもなく堆積し変質した垢が。とにかくすごい。山のようにフレットにへばりついていた。
それをぞうきんとヘラで頑張って落とし、鳴らしてみる。ん?なんか歪んでるぞ。裏蓋をあけてみる。ブースター回路。初めて見る9V電池。電池て。ギターに電池がいるのか?
このBich回路の解析は自分の教養形成に非常に重要な意義がありました。シリーズパラレル組替えスイッチ。バリトーンスッチ。トランジスター。とても勉強になりました。
ただBichは変形ギターの宿命として、やはりストラップで吊ったときのバランスがどうしようもなく駄目でした。美しいんですけどねー。ボディ容積が足りないのか、ヘッド落ちするんだよなー。
あのボディエンドに唐突にあらわれる直線、あそこに10弦のうち4本をヘッド側から張るらしいので、SGと同じく。6弦のbichは未完成ギターなんだと思います。SGがサイドウェイ/ヴァイブローラ前提に設計されてるように。
自分が所有したギターとしては珍しく?難解すぎる回路に手をつける事なくお嫁にいきました。たしかね。
ボディ構造もすごくて、トップ/バックの合板、スルーネック、よくわからないバインディングもされていたと思います。
ベースか???っていうくらい幅広のネックで凄かった。
ソルダーノアンプとなかやまかなこモデルSGとDG-STOMPの思い出
黒いSGを持っていました。グレコのなかやまかなこモデルだったはずです。
誰モデルというのは当初わかっておらず、売る時になって初めて知らされた記憶があります。
2ハム、スモールピックガード、TOMブリッジで薄いネック、特徴的なフロントピックアップのサウンド。
「ひしゃげたストラトみたいな音」がなんか嫌で、大阪・日本橋の楽器店に売りに行きました。
楽器店のあんちゃんは、見るなり、ソルダーノのアンプにプラグインすると、とんでもなく美しい轟音を響かせたのでした。
「こんないい音するのに、この値段で手放しちゃっていいの?」
彼はそう自分を諭しました。
その場は、いったん売るのをやめて持ち帰ることにしました。彼は正しかったと思います。
しかし数年後(?)、自分はそのSGと、ヤマハDG-STOMPを当時、懇意にしていたネットの友達に無料であげてしまいます。
もったいないことをした。
どうせ初心者なんて長続きしないのに。
なんだか、その人は出世するような気がして、自分が大切にしていたDG-STOMPとSGをあげなければいけない気がしていたんですよ。今思えばおかしいですね。
ただ、「よい道具は、よい使い手のところにあるべき」というのは当時から思っていて。その人が今どうしているかは知りません。以前の記事に書いた通り、自分は定期的に過去を切り離しているので。
DG-STOMPはいいプロセッサーでした。マルチエフェクターBOSS GTよりずっとわかりやすかった。長時間使っているとかなり熱くなるのが問題でしたが。
DRIVE2チャンネルでジミヘンコードを鳴らすのが大好きでした。
お金がなかったから買えなかったけど、ヤマハのでかいアンプ、メモリーした位置にツマミがモーターで動くやつ。欲しかったなあ。
LEAD1チャンネルが図太い音で、サンタナみたい。あれがメサブギーモデリング?なんだろうか。
昔から好みが変わっていない。
エレキギター達の思い出
エレキギターが趣味です。
演奏はもちろんですが、うんちく蒐集だとか、サウンドの識別だとか、そういうのも趣味です。
自分は移り気であり、飽き性なので、「大切な一本をずっと使う」ということが、ありません。
なので、3年以上同じギターと一緒に過ごすことは稀です。稀でした。
ああでもない、こうでもないとリサイクルショップや楽器店を漁り続け、20数年…。
(その時間を練習に費せばもっと上達したのに、というのはわかっています)
5年だか10年だか、まったく弾いていなかった期間もありましたが、そこを除けば自分はやはりエレキギターというものの謎めいた「価値」に魅せられており、今も魅せられ続けている、という話です。
グラスルーツ INORANモデル
自分の最初のエレキギターです。友達からタダで貰いました。タダで。バブリー。なんでタダでくれたんだろう?
ピックアップはS-S-H配列で、Tune-O-Maticブリッジ。ボルトオンで22フレット。フロントピックアップが深みのあるローミッドでよく歌うギターだった覚えがあります。
ピックアップはアンダーマグネットタイプだったはず。紫色ベースにに縁が黒の2トーンサンバースト。
これは本当にいいギターでした。やはりグラスルーツは上位機種で何らかのミスがあったものをアウトレットとしてラベルだけ張り替えて売っているんじゃなかろうか。
弾きやすさよし、チューニング(ピッチ)よし、サウンドよし。何も悪いところが無かった。今考えてみると。ネックはUシェイプだったな。
とはいえ、初めての自分のギターであったし、エレキギターというのは改造してナンボや!みたいにイキっていた頃でしたので、塗装剥がし、回路の定数変更、ペイント、などなど。やりたい放題改造してしまいました。当時は理屈もわかってなかったし。
軽音楽部ギターパートのある男子がE-CL(SUGIZOモデル)のグラスルーツを自分でアルミホイル加工してミクストメディア仕様にしてたのに衝撃を受けてやったんだったかな、ペイントは。
別のギター男子がスタインバーガーライセンスのホーナーG2Tをメインギターにしてたり、V系最盛期だったり。そんな学生時代だった。
ハリケーンbyモーリス ストラトタイプ
アルバイトして溜めたお金で初めてヤフオクで買ったギターです。ヤフオクか?個人売買だったような?どうだっけ。
当時、ヤフオクはまだ出始めで、とんでもない安値でいい機材が買えた覚えがあります。
近所のブロバン未対応なリサイクルショップで仕入れたジャパンビンテージを個人売買掲示板で転売して儲けたりしてました。
たしか7000円?5000円?くらいの破格で購入。手渡しだった気がする。ホーナーG2Tも10000円ポッキリだったような。
極端なトライアングルネックで、指板アールもきつく、キンキンした高出力ピックアップの乗った50'sストラト風味なモリダイラ楽器の一本でした。たぶん、ビル・ローレンスという名前で出していたやつと同じヘッド形状です。
これもピックアップはアンダーマグネットだが、ネックはうっすら虎杢が浮いていて、ブレット・トラスロッドなのにスカンク・ストライプ(埋め木)仕様だった気がする。
ローズ指板、21F。曲げ鉄板6点シンクロトレモロ。
高音きつすぎるのがどうしても気になり、「重たいブリッジにすると、音がよくなる」みたいな風説を真に受けてGOTOH製のブリッジに無理矢理換装してみたり。
ダンカンSSL-4を載せてみたり。
あげくの果てには工房で買ったVooDooのテレキャスピックアップを載せてみたいからと、彫刻刀で無理矢理ザグリの実験台に…。(改造手術は成功した)
テレキャスのリアピックアップは非常によかったのですが、一度目の鬱になったときに二束三文でリサイクルショップに放出してしまった。もったいないことをした。